2007年09月26日

佐々木譲

冒険小説のイメージが強い作家。推理作家として分類されることもあるが、代表作に冒険小説が多いので、冒険小説を読んだほうが面白いであろう。

と言っても私が読んだのは3冊で、しかも太平洋戦争三部作といわれる3冊。名作ぞろいである。

ベルリン飛行指令

零式戦闘機をドイツに送り届けるべく、二人のパイロットがドイツまで飛行するまでの道程を描いた作品。
その道のりの苦難などを描くことが中心となっているので、ハードな冒険小説にしあがっている。他の2作品に比べると男くさい作品だが、十分楽しめる。

エトロフ発緊急電

真珠湾攻撃の情報の真偽を探るスパイをめぐる物語。
『ベルリン〜』よりも冒険テイストはうすいが、それを補う人間模様が描かれている。択捉島に入ってからの女性との出会いとその恋愛模様。
時間と場所と人間と、ありとあらゆる要素が、この物語の面白さを際立たせている。近年稀にみる傑作。
日本推理作家協会賞、日本冒険小説協会大賞、山本周五郎賞受賞作。

ストックホルムの密使〈上〉

世界大戦三部作完結編。連合軍の重大情報を伝えるために送られた使者二人の物語。
あまりに個人的な感想なのだが、前二作にくらべると、冒険テイストも人間模様を描きかたも薄く感じたせいで若干劣るイメージが。このシリーズのせいで期待が高すぎたせいもある。
ただ作品自体のクオリティはある一定の水準を保っているので、読んで損はないと思う。



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